天狗

日本を代表する大妖怪「天狗」
この天狗には数多くの言い伝えと謎が存在している。

今回は天狗の種類と語り継がれる伝承、その正体とされる説をご紹介する。

天狗の言い伝え

天狗に関する伝承は古くから存在している。
ここでは天狗の言い伝えの中から特に有名なものをご紹介する。

①日本一の山を作ろうとした天狗

群馬県には非常に巨大な天狗の言い伝えが残っている。
あるとき大天狗が群馬の榛名山(はるなさん)を日本一高い山にしようと考えた。しかし、土を掘っては山に盛りを繰り返していくうちに神通力が尽きてしまう。

日本一の山を作ろうとした天狗やけくそになった大天狗が残っていた土を放り投げるとそれが現在の「ヒトモッコ山」になった。
また、このときに天狗が掘った穴に水が溜まり現在の「榛名湖」になったといわれている。

②牛若丸と天狗師匠

烏天狗は特に剣術に優れていたといわれているため、有名な牛若丸に剣を教えたという言い伝えが残っている。源義経こと牛若丸は七歳のときに僧になるために向かった鞍馬山で烏天狗に遭遇する。

牛若丸と天狗師匠父の敵として平家を滅ぼしたいと話した牛若丸に心を打たれた烏天狗は、彼に天狗の剣術を教えることになった。この頃の牛若丸は毎晩のように寝床から抜け出し、烏天狗との修行に明け暮れたといわれている。

③目撃された天狗の群れ

静岡県の大井川では大量の天狗が目撃されたという言い伝えが存在する。その天狗は巨大な鳥のように見えたが、顔は人というとても奇妙な生物だった。

目撃された天狗の群れ目撃された大量の天狗は夜の大井川で魚を捕まえたが、一目に気が付くと一斉に飛び去ってしまったといわれている。これらの天狗は木の葉天狗に当たると考えられている。

④世界を滅ぼした天狗

1500年ほど前に地獄について書かれた古書「正法念処経」にも天狗が登場する。
それによれば山に入った天人があるとき空で激しい爆発を目撃、驚いた彼らが身を隠すと巨大な天狗が姿を現し、どこかへ消えた。

世界を滅ぼした天狗これは天狗が天上にある兜率天(とそつてん)という世界を破壊した風景を記したものだとされている。天界を破壊する天狗が邪悪で恐ろしい存在であると記した伝承。

⑤天狗になった天皇

日本の第75代天皇である崇徳天皇(すとくてんのう)にも天狗に関する逸話が残っている。
崇徳天皇は自ら己の舌を噛み切り、噴き出した血で呪文を記し、その力で生きながらにして天狗になったといわれている。

天狗になった天皇爪や髪は伸び放題に伸び、夜叉さながらの姿となった崇徳天皇は都に疫病を流行らせ多くの大臣を病死させる。天狗の力を恐れた後の人々は、崇徳天皇を神として祀り「白峯神宮」を建設したといわれている。

⑥天狗になった呪術師

飛鳥時代に実在した呪術師「役小角(えんのおづの」にも天狗に関する言い伝えが残っている。役小角は強力な神通力を持ち、鬼を従えて雲に乗り自由に空を飛んだといわれている。

天狗になった呪術師役小角は死後に大天狗になり、その力で妖怪の頂点に君臨する存在になったと伝承されている。役小角については「今昔物語」でも取り上げられており、山へ籠って修行をする「修験道」の開祖としても知られている。 

⑦子どもを助けた天狗

愛媛県の石鎚山には迷子になった子どもを助けた天狗の話が残っている。あるとき男の子が山で行方不明になり、村人たちは彼を探して山に入った。しかし、どれだけ探しても見つからないのであきらめて戻ると、村には行方不明になったはずの男の子が帰ってきていた。

子どもを助けた天狗話を聞くと山の頂上で黒い大男と出会い、目をつむるようにいわれてそのとおりにするといつの間にやら村に戻って来ていたとのことだった。これは天狗が人間を助けた逸話として語り継がれている。

⑧天狗が起こす怪異現象

群馬県では山中で突然笑い声が聞こえるとそれは「天狗の笑い」という現象だといわれており、これに返して笑うとさらに大きな声で笑い返してくると言い伝えられている。また、山で突風が吹くと大きな岩が転がり落ちてくるとされており、これは天狗が投げた「天狗礫(てんぐつぶて)」だとされている。

天狗が起こす怪異現象天狗は山神として信仰されている場合も多く、こうした山で起きる超常現象は天狗の仕業であると考えられてきた。

⑨天狗の住処

埼玉県の児玉郡には松を切ろうとした人が木から落ちて大怪我をするという事故があった。これは松に棲みついていた天狗の仕業だといわれている。天狗が大松に宿るという話は日本各地に存在しており、山の神として扱われることがその由来であるとされている。

天狗の住処愛知県の宝飯郡には松の大木の下に大きな洞窟があり、「天狗の巣」という呼び名が付けられている。
実際にこの洞窟の中で天狗を目撃したという話も残っている。

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